【事務所概要】

事務所名 行政書士ながお事務所
代表者  行政書士 長尾邦宏
住所   横浜市港北区新横浜
電話   070-9066-3712
営業時間 9:30~18:30(事前予約にて時間外可)
休業日  土日祝日(事前予約にて対応可)
E-mail  お問い合わせ(24時間受付)

遺言書Q&A~よくある疑問に専門家がわかりやすくお答えします~

遺言

「そろそろ遺言書を書いておいた方がいいかな…」と思いつつも、「何から始めれば?」「どう書いたらいいの?」という疑問が次々と湧いて、なかなか手が付けられない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、行政書士として日々のご相談でよく聞かれる遺言書に関する質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。「これから遺言書を書こうとしている方」や「ご家族のことで気になっている方」にとって、安心して準備を進められるきっかけになれば幸いです。

Q.遺言書を書くタイミングっていつ頃が適切なのでしょうか?

A.「思い立ったときがベストタイミング」です。
よく「高齢になってから」とか「病気になってから」と考える方が多いのですが、実際には元気なうちに準備をするのが理想です。
なぜなら、認知症などで「遺言能力(事理弁識能力)」が疑われると、せっかく書いても無効になる可能性があるからです。

「まだそんな年齢じゃないし…」と思う方も多いですが、実際には50代、60代のご相談者も多数いらっしゃいます。
遺言書は一度書いても、後から何度でも書き直すことが可能です。人生の節目や財産の変化に応じて見直すことで、より安心できる内容になります。

<こんな方には特に早めの作成をおすすめします>

  • 子ども同士の仲が良くない
  • 再婚・非嫡出子・内縁関係など家族構成が複雑
  • 特定の人に多めに遺したい
  • 会社経営や不動産所有がある

Q.子どもがいない夫婦には遺言が必要ですか?

A.必要です。特に配偶者にすべてを残したい場合は必須です。

子どもがいない場合、配偶者と遺言者の兄弟姉妹などが法定相続人になります。
そのため、遺言がないと、配偶者が遺言者の兄弟姉妹と遺産を分け合うことになり、トラブルになるケースが多く見受けられます。

一方、兄弟姉妹には「遺留分」がないため、遺言書にきちんと記載しておけば全財産を配偶者に残すことが可能です。
特に兄弟姉妹との関係性が希薄な場合は、必ず遺言書を用意しておきましょう。

Q.遺言書の保管方法はどうすれば良いでしょうか?

A.信頼できる人に伝えるか、法務局の保管制度や公正証書遺言を利用しましょう。

自筆証書遺言は、せっかく書き残しても、保管場所が不明になったり、誰にも発見されずに無効同然になってしまうことがあります。自宅で保管する場合は、遺言執行者となる専門家または遺言執行者となる相続人に、保管場所を正確に伝えておきましょう。
それでも自宅での保管にはリスクがあるため、法務局の「自筆証書遺言保管制度」を活用する方法もあります。この制度を利用すれば、亡くなったあとに遺言書が見つからないリスクはなくなり、家庭裁判所での「検認」も不要になります。

また公正証書遺言は、原本が公証役場に保管され、全国の公証人ネットワークで検索可能なので、紛失するリスクはありません。が、「自筆証書遺言保管制度」のように亡くなると自動的に相続人に連絡がいくわけではありませんので、遺言執行者を指定してきちんと遺言執行がされるように手配しておくことが重要です。

Q.遺言書が見つかれば、すぐに効力を発揮するのでしょうか?

A.自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合、まず「家庭裁判所の検認」が必要です。

ただ、家庭裁判所での検認は、遺言書が改ざんされていないかを確認する手続きであり、遺言内容の有効性を判断するものではありません。
検認には1ヶ月~2ヶ月程度かかることもあるため、急ぎの手続きが必要な場合には不向きです。

一方、公正証書遺言は検認が不要で、すぐに相続手続きに移ることができます。しかし、この場合でもその効力を絶対に争わないとは言えません。

Q.書いた遺言書をあとで変更できますか?

A.はい。何度でも変更・撤回できます。
遺言書は、遺言者本人が生きている間は自由に変更したり書き直したりすることが可能です。
新たに作成した遺言書がある場合は、最新の日付のものが有効とされます。ただし、内容をしっかり管理しないと、古い遺言が出てきてトラブルの元になるケースもあります。特に自筆証書遺言では、古い遺言書の破棄・管理が重要になります。

Q.遺言書があれば、遺産分割協議は不要ですか?

A.はい。原則として、遺言書が優先されるため遺産分割協議は不要です。

有効な遺言書がある場合、相続人全員の合意が必要な「遺産分割協議」は原則不要になります。遺言の内容に従って、不動産の名義変更や預貯金の解約などの相続手続きを進めることができます。ただし、遺言の内容に納得できない相続人が「遺留分侵害」を主張して争いになることもあるため、注意が必要です。

Q.遺言書にはどのような財産をどう書けばいいのでしょうか?

A.財産の記載は「誰が見ても明確にわかる形」が基本です。不動産や預貯金は特に注意しましょう。

たとえば、不動産なら登記簿通りの表記で所在地や地番、面積などを正確に書く必要があります。
預貯金であれば、「〇〇銀行△△支店 普通預金 口座番号1234567」など、金融機関・支店・口座の種別・番号を記載します。

また、財産が多岐にわたる場合や記載が煩雑なときには、別紙で「財産目録」を添付する方法もあります。この場合は本文に「別紙財産目録記載のとおり」といった文言を記載すれば問題ありません。自筆証書遺言は「全文」を自筆で書く必要がありますが、財産目録を別紙で添付する場合は、その目録はPCで作成したものでも通帳のコピーなどでも大丈夫です。

Q.遺言執行者って必ず決めた方が良いのでしょうか?

A.はい。可能な限り指定しておくことをおすすめします。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実際に実行する人のことです。相続財産の名義変更や預貯金の解約手続き、不動産登記など、多くの実務作業を担います。

遺言執行者がいないと、手続きのたびに相続人全員の同意や実印、印鑑証明が必要になるため、相続人間の関係が良くない場合や、遠方に住んでいる人がいるとスムーズに進まず、大変苦労することになります。

相続人の一人を指名しておくことが多いですが、中立的な立場の専門家(行政書士や弁護士など)を指定しておくことで、相続人の負担を軽減し、トラブルを予防することもできます。

Q.遺言書を書いても、遺留分を主張されたらどうなりますか?

A.法定相続人には一定の取り分(遺留分)があります。全く考慮しない内容の場合、トラブルになる可能性あります。
たとえ遺言で「全財産を長女に相続させる」と書いてあっても、他の相続人(配偶者・子など)には遺留分という最低限の相続権があり、「遺留分侵害額請求」をされる可能性があります。
特に一人に多く渡すような内容にする場合は、事前に相続人それぞれに気持ちを伝えておくことや付言事項としてその意図や気持ちを丁寧に書き残すなど、細心の配慮と注意が必要です。そのうえで、揉めそうな要素が廃除できない場合は、弁護士に入ってもらうなどの対策が必要です。

Q.遺言書に書いておけば、どんなことでも実現できますか?

A.実現可能な範囲には限界があります。法的に無効になる内容もあるため、注意が必要です。

たとえば、「全財産を〇〇に与える」といった記述は基本的に有効ですが、「〇〇には相続させない」「△△を勘当する」など、法律で保護される相続人の権利(遺留分)を侵害する内容や、単なる感情的な文言の場合には無効となる場合があります。

また、財産分与の方法に問題があれば、実際の手続きで実現が難しいケースが出てきたりします。内容に不安がある場合は、専門家にチェックを依頼することをおすすめします。

Q.家族に遺言書の内容を知らせた方がいいですか?

A.基本的には伝えておく方が望ましいですが、内容によっては慎重に。
家族が遺言書の存在を知らなければせっかく書いた遺言書が無効同然になることもあります。一方で、内容によっては、トラブルを避けるために生前は伏せておく方が良いケースもあります。このあたりのバランスは、専門家に相談しながら検討されることをお勧めします。

Q.行政書士などの専門家に相談するタイミングは?

A.「自分で書こうとして不安になったとき」や「相続が複雑なとき」です。

インターネット上に遺言書の書き方はたくさんありますが、「自分に当てはまるかどうか」は別問題です。
以下のような方は、早めに専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

  • 子のいない夫婦
  • 再婚・認知・養子など家族関係が複雑
  • 財産の額や種類が多い(不動産・株・事業など)
  • 相続人間の関係が良くない
  • 遺言の執行まで一貫して任せたい

最後に

遺言書は「争いを防ぐため」だけでなく、「家族に思いを伝える」大切な手段です。
形式や内容に不安がある方は、行政書士などの専門家に相談することで、より安心して遺言書を残すことができます。
今回ご紹介したQ&Aは、実際のご相談でよく聞かれる内容ばかりです。
ご自身の状況に置き換えて考えてみて、気になることがあればお気軽にご相談ください。
「いつか」ではなく、「今」考えることが、将来の安心につながります。

この記事は、新横浜エリア・港北区を中心に遺言書作成・相続/遺産整理手続きのサポートを行う「行政書士ながお事務所」が執筆しています。遺言書に関する疑問がある方は、お気軽に当事務所にご相談ください。この記事、どんな人が書いてるのかな?といった関心を持っていただいた方もどうぞ当事務所のホームページをご覧ください!

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