【事務所概要】

事務所名 行政書士ながお事務所
代表者  行政書士 長尾邦宏
住所   横浜市港北区新横浜
電話   070-9066-3712
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休業日  土日祝日(事前予約にて対応可)
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相続人の決まり方と「法定相続分」をやさしく解説

相続

こんにちは。遺言・相続を専門としている行政書士です。相続に関するご相談で多く寄せられるのが、「誰が相続人になるのか」「自分はいくらもらえるのか」といったご質問です。相続は人生で何度も経験するものではなく、しかも法律が絡むため、多くの方が戸惑われます。

この記事では、できるだけ分かりやすく「相続人の範囲」と「法定相続分」についてご説明します。特に、親が亡くなって初めて相続手続きをすることになったという方々に向けて、基礎から丁寧にお伝えします。

相続人は法律で定められている

相続が発生すると、故人(被相続人)の財産を引き継ぐのは「相続人」と呼ばれる人たちです。そして、この相続人が誰になるのかは、民法という法律で明確に決められています。

まず知っておいていただきたいのは、配偶者(法律上の結婚をしている夫または妻)は、常に相続人になるということです。これはどんな場合でも変わりません。一方で、「内縁の妻・夫」や事実婚の相手は、法律上の配偶者ではないため、原則として相続権はありません。

その他の相続人は、以下のような優先順位で決まります。>

相続人の優先順位

第1順位:子(養子・胎児も含む)

もっとも優先されるのは子どもです。実子はもちろん、養子(普通養子・特別養子)も相続人になります。普通養子であれば、実親と養親の両方から相続を受けることができます。また、胎児も生まれてくることを条件に相続人とみなされます。

さらに、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)も、現在の法律では嫡出子と同じ相続分を持つと定められています。

第2順位:直系尊属(父母・祖父母など)

子や孫がいない場合には、被相続人の両親や祖父母など、直系の上の世代にあたる人が相続人になります。父母が健在であれば、祖父母は相続人になりません。より親等が近い方が優先される仕組みです。

第3順位:兄弟姉妹

子も直系尊属(父母・祖父母など)もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります。ここには、異母兄弟・異父兄弟なども含まれますが、片方の親しか共通しない兄弟(半血兄弟)は、両親が共通する兄弟(全血兄弟)の半分の相続分となります。

法定相続分とは?

法定相続分とは、「相続人が複数いるときに、誰がどのくらいの割合で遺産を受け継ぐか」を法律で定めた基準のことです。遺言書がない場合や、遺言書に書かれていない財産については、この法定相続分に従って遺産が分配されます。

【代表的なケース別 法定相続分】

  1. 配偶者と子が相続人の場合
    • 配偶者:1/2、子:1/2(複数人いる場合は等分)
  2. 配偶者と直系尊属(父母など)が相続人の場合
    • 配偶者:2/3、直系尊属:1/3(人数で等分)
  3. 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
    • 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4(半血兄弟姉妹は全血兄弟姉妹の1/2)
  4. 子のみが相続人の場合
    • 子が均等に相続
  5. 直系尊属のみが相続人の場合
    • 人数で均等に相続
  6. 兄弟姉妹のみが相続人の場合
    • 人数で均等に相続(半血は全血の1/2)

実際の相続ではどうなる?

法律上のルールは明確でも、実際の相続では状況が複雑になることが多いです。たとえば、前妻との間に子どもがいる、養子縁組がある、相続放棄をしている人がいる、行方不明の相続人がいる、といった事情が重なると、「法律上、誰が相続人か?」を確定するだけでも大変な作業になります。

手続き的にも、相続人を確定するためには被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得し、家族関係を確認する必要があります。これは思っている以上に手間と時間がかかります。古い戸籍には難解な漢字や旧仮名遣いの用語などが使われているため、一般の方にとっては大変大きな負担です。

そして、やっとのことで法定相続人を確定できたとしても、家族の仲が悪く、法定通りでは納得しない法定相続人がいる場合には残念ながら家族間での「争族」に突入してしまうケースもあります。

法定相続分の通りに分けなければならない?

ここまで法定相続分の仕組みをご紹介しましたが、実際には必ずしも法定相続分の通りに財産を分ける必要はありません。

まず、被相続人が遺言書を残していた場合は、その内容が最優先されます。たとえば、「自宅は長男に相続させる」「預金は妻にすべて渡す」といった指定があれば、その通りに分けることになります(ただし遺留分に注意が必要です)。

また、遺言書がない場合であっても、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を通じて自由に分け方を決めることが可能です。「長女は介護を担ってくれたから多めに」「弟は家を継ぐから不動産を」といったように、現実の事情を考慮した柔軟な遺産分割がされるケースも少なくはありません。

ただし、この遺産分割協議が家族同士が争う「争族」の元になることが多いのも事実です。

まとめ

相続人の範囲や相続分は民法によって定められており、基本的な仕組みを知っておくことで、相続手続きの全体像をつかみやすくなります。ただし、実際の相続では、家族の事情や生前の関係性などが絡んでくるため、法律だけでは割り切れない場面が多くあります。

法定相続分はひとつの基準ではありますが、遺言書の有無や遺産分割協議による相続人全員の合意によって、実際の遺産の分け方は柔軟に対応することが可能です。

次回は「遺産分割協議って何ですか?どうやって進めるのでしょうか?」についてご説明します。相続を円満に、そして円滑に進めるためのポイントをお伝えします。

初回のご相談は無料です。「自分は相続人にあたるのか?」「どれくらいの相続分があるのか?」など疑問や不安を感じたときは、ひとりで悩まずお気軽に当事務所にご相談ください。この記事、どんな人が書いてるのかな?といった関心を持っていただいた方もどうぞ当事務所のホームページをご覧ください!

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